円坐やエンカウンターグループのような形態の場に自分が惹かれることを初めて知ったのは、多分NHKで10年以上前に放送されていた「真剣10代しゃべり場」を通してでした.これは10代のメンバー10名ほどによる討論番組で、メンバーのひとりが持ち込んだテーマについて輪になって話し合うというもの.著名人の大人がひとりゲストとしてその中に入りますが、司会や進行役のような立場ではなく、あくまで参加者の一人として場に加わります.
テーマは例えば、「友達ってどういうもの?」「どうしてみんな政治に無関心なの?」「『生きている実感』どうしたら得られますか?」などでした.
それまで若者による討論番組といえば、司会であるアナウンサーが話を振り、振られた側は求められているものを意識しながら優等生的に答え、議論は整理されながら着地していく、といったようなイメージを持っていたけれど、この番組は違っていました.丁寧なやりとりや空気を読んでの発言のようなものはむしろわずかで、思いをぶつけ合ったり時として攻撃し合ったりもします.立川談志がゲストの回、彼は他の参加者とやり合ったあげく怒って楽屋に引っ込んでしまいました.
演出された部分もあるのだろうけど、そうしたやりとりに生々しい魅力を感じ、録画をして気に入った回は何度も見返していたことを覚えています.
生々しさ.本音をベースとしたやりとり.自分をさらけ出すことへの興味と怖れ.回を重ねるごとにメンバーに訪れる変化.今思えば自分はそうしたものに惹き付けられていたように思えます.そうした場の存在を求めて時折探してみてはいたけれど、当時はそれを見つけることはできませんでした.
目白で開催しているエンカウンターグループはこれで13回目を迎えます.静かな展開となることが多く、これまで参加くださった中で、この場をしゃべり場と結びつけて考えたことがある方は多くなかったと思いますが、自分にとっては、少なくとも水面下では間違いなくつながったものとして感じられています.