先日「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」というワークショップに参加をしてきた.日本語に訳せば「暗闇の中の対話」.内容はその場に集った人々が暗闇の中で90分行動を共にするというもので、視覚障害者のスタッフの方1名が案内につく.その日のメンバーは6名だった.
暗闇はそれはもう完全な暗闇で、どんなに目を見開こうが時間が経って目が慣れようが、まったく光は見つからない.完全な暗黒をまとまった時間体験したのはたぶん生まれて初めてのことで、それは事前に想像していた通りではあったのだけど、実際に体験したのはそれとはまったく異なるものだった.完全に矛盾したことを書いているけれどもこれが正直な実感として残っている.
暗闇の中の空間にはいろいろなものが配置されていて、手で触れたり、音を確かめたり、同行者が教えてくれることを頼りにしたりして過ごしていくのだけど、結局何がどうなっていたのかは明らかにされないままで終わる.
その日はそれが物足りなくもあったけれど、盲人のゾウという寓話を思い出して、たとえその場にあったものを目で見ることができたとしても、それが何を意味するのかを本当の意味で知ることとは異なることに思い至った.そしてそれはこの日の体験に限らず、他の事物や他者に対しても同じ基本的な限界なのだろうと思う.そしてこの限界があるからこそ、時にすべてを動員して事物や他者をわかろうとすることがあるように思える.
同行したメンバーに対しては、共に行動したからなのか暗闇だったからなのか、初対面であってもただ90分を一緒に過ごした以上のつながりのようなものを感じる.ダイアログ・イン・ザ・ダーク、とてもおすすめです.くらやみエンカウンターをやってみたくなったな〜
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8月21日(金)は立木ゆりさんと共に場を見守ります.お問い合わせやお申し込みはこちらまでお願いします.