前回のお知らせにも書きましたが、昨年末ひきこもり当事者を対象にしたエンカウンターグループでファシリテーター (見守り人) を務める機会がありました.その影響もあり、先日、都内で行われた対話型イベント「ひきこもりフューチャーセッション庵(IORI)」に初めて参加をしました.これは「ひきこもりが問題にならない社会を未来思考の対話から描き出す場」とのことで、ひきこもり当事者に限らず誰でも参加が可能です.会場はテニスコート一面ほどの広さで、そこにテーマの決まったテーブルが6つほど並べられ、それぞれでワールドカフェのように対話が進められていきました.テーマの内容は「居場所」「家族」などです.
会の冒頭に、ひきこもり問題を中心に活動しているジャーナリストの池上正樹さんのスピーチがあったのですが、その言葉が強く印象に残っています.「ひきこもり当事者に必要なのは、(当事者の) 言葉を封じ込めない、感情を言葉にしていくことの重要性、いろいろな立場の人の話が聴けること」.
これらはそのままエンカウンターグループの特徴でもあるように思いますが、庵の活動にも関わっている元ひきこもりの友人によると、やはりひきこもり界隈ではその存在はほとんど知られていないそうです.
もっともよく知られ利用されているのは「居場所」と呼ばれるひきこもり当事者同士が交流できるフリースペースのような場所ですが、会場で知り合った人の話によると、利用者は時としてそこに安住してしまい、次のステップに進むのが難しくなってしまうこともあるとのことでした.
エンカウンターグループは特定の目的を持たない集まりで、その中で何をしてもいいのだけど、フリースペースとは明らかに違います.言葉で伝えるのは難しいのですが、例えば「人と人との間で起こること、その結果として自分の中に起こること、それだけに身を浸す場と時間」と言えます.
同じ場に出てもそこで得られる体験は人それぞれまったく異なることも多いのですが、場の中で自由に試行錯誤することによって、例えば人との関わり方を学び直したり、自分自身との関わり方を学び直したり、そうしたことによって変容していく人も少なからず存在するように思います.
ひきこもり当事者に限らず多くの人にその存在を知って体験してほしい.自分がエンカウンターグループを開く動機のひとつもそこにあります.
今回も立木ゆりさんと共に場を見守ります.この場はどのような方でもご参加いただけます.時間とお気持ちがあえばご一緒しましょう.お問い合わせやお申し込みはこちらまでお願いします.